「梨花、しっかりしろ」

救急車が到着し、最上総合病院へ搬送した。

「外科医の最上だ、救急患者は最上梨花三十九歳だ、急に意識がなくなった」

梨花は貧血気味でふらふらすると言っていたが、他に疾患があると言うことか。

救急搬送された梨花は、しばらく入院することになった。

血液内科に入院することになり、外科医の俺は全く無能な立場になった。

内科には俺と同期の内科医がいる。日下部大我だ。

「どうなんだ」

「お前、結婚したのか」

「ああ、そんなことはどうでもいい、梨花をさっさと治せ」

「無理言うなよ、内科の病気は繊細なんだよ、外科みたいに野蛮じゃないんだから、急かすな」

日下部は集中治療室で梨花を診察した。

「安藤の病院へ転院させろ」

「安藤?」

「あいつは血液内科専門だ」

日下部は安藤へ連絡した。

「安藤か、日下部だ」

「おお、元気か、どうした」

「最上梨花さんをお前の病院へ転院させたいんだが大丈夫か」

「梨花ちゃん?」

「なんだ知ってるのか」