「梨花さん、僕のマンションへ行きましょう、五億の借金は僕が最上先生に払います」

「純一さん」

「おい、梨花、お前それでいいのか、自分の借金を人に払わせて」

いいわけないけど、私じゃ五億なんて払えないし……

悩んでいる様子を見抜いて、最上さんは私に近づき囁いた。

「俺の側に生涯いるなら借金払わなくていい、何度言わせるんだ」

私が答えに困っていると、最上さんは純一さんに言葉を発した。

「梨花は俺の妻だ、さっさと帰れ」

そう言って私の手を引き寄せその場から連れ出した。

「梨花さん、必ず迎えにきます」

私は後ろ髪を引かれる思いで純一さんの方を振り向いた。

最上さんは私の腰に手を回して「梨花、お前は俺の妻だ、他の男について行くことは許さない」と私を見つめた。

はじめてみる最上さんの真剣な眼差しに息をのんだ。

そしてマンションに向かった。

部屋に入ると、急に最上さんは私の唇を塞いだ。

いきなりキスされたのははじめてのことだ。