「梨花さんはもう人妻なのか」

「へえ、梨花を口説こうとしていたのか」
「僕達は八年前に結婚の約束をしていた、口説くとか下品な言葉は使わないでくれ」

八年前?こいつ、梨花に唯一プロポーズした男。

「八年前なんで梨花と結婚しなかったんだ、お前梨花を手放しておいて、今更のこのこ出てきてなんなんだよ」

「僕は梨花さんを手放したりしていない、梨花さんが僕の前から姿を消したんだ」

「なんだ、結局お前振られたんじゃないか、振られた奴は引っ込んでろ」

「最上さん、そんな言い方失礼ですよ」

「はあ?梨花がこいつを振ったんだろ?違うのか」

「振ったんじゃなく、身を引いたんです」

「身を引いた?結局諦めたってことだろ、本気で好きなら誰にも渡したくないって思うじゃねえのか、お前はこいつを本気で愛してたわけじゃないってことだろ」

「とにかく、梨花さんは僕が連れて帰りますから、梨花さん行きましょう」

そう言って純一さんは私の手を握り、車にエスコートした。

えっ、私はどうすればいいの?