好きな男性にプロポーズされて、結婚して、毎日「いってらっしゃい」そしてキスして、

「ただいま」「お帰りなさい」そしてキス。

私は唇を尖らせて最上さんに近づいた。

「おい、なんの真似だ」

「えっ」

「そう言う面倒な事が嫌だからお前と契約したんだ、勘弁してくれ」

「ごめんなさい」

「なんだ、素直なところもあるんだな」

私は恥ずかしくなって俯いた。

「じゃ、契約成立だな」

私は入院して手術を受けることになった。

それからまもなくして退院の許可が降りた。

「もう退院して構わない、明日退院の手続きを済ませておく、お前は手配しておくタクシーで俺のマンションへ迎え」

「私、一人ですか」

「当たり前だ、俺は仕事があるからな、退院の手続きもタクシーの手配も済ませておくからありがたいと思え」

「私、いま、最上さんの婚約者ですよね、婚約者が退院する日位、お休み取ってくれてもいいのに……」

「はあ?何を甘えた事言ってるんだ、俺達は契約の関係だ、自分の立場を弁えろ」