最上さんは自分自身を指さした。

「知りません」
私は恥ずかしくて背中を向けた。

最上さんは後ろから私を抱きしめて、首筋に唇を押し当てた。

「ああ、ん?ん」

駄目って言いながら私は最上さんのキスに反応してしまった。

「なんだよ、駄目って反応じゃないな」

このまま私のはじめてが奪われるの?って期待した瞬間、最上さんは私から離れた。

そして私の足に触れて「まだ筋肉が硬直してるな、今日はお預けな、シャワー浴びてくる」

そう言って最上さんはシャワールームへ消えた。

ぽつんと一人残された私は、身体が熱ってくるのを感じた。

そして、最上さんに抱きしめて欲しいって強く願った。

もう、最上さんから離れられない自分がいた。

それから最上さんは毎日帰りが遅くなった。

救急搬送された患者さんの処置や、緊急手術、外来も最上さんに診察して欲しいと患者がひっきりなしでやってくる。

難しい手術もあっさりとこなし、いつも帰ってくるのは午前様だった。

私はもうすでに夢の中だった。