「実は七年も前になるんですが、最上先生と結婚の約束をしていたんです、でもお互いのすれ違いで、別れたんですが、私は今でも彼を愛しています、もう一度やり直したいと思っています」

やっぱり、そうなんだ。

「患者として話するチャンスがあればと思ったんですが、なんかタイミングが合わなくて、
そうしたらあなたがとても最上先生と親しげに話しているのを見かけて、
私の味方になって欲しくて、初対面なのに失礼かと思ったんですがお声かけさせて頂きました」

どうしよう。

「お名前をお聞きしてもよろしいですか」

「名前ですか」

「はい」

「鶴巻梨花といいます」

私は咄嗟に旧姓を名乗った。

「私の味方になって頂けますか」

「分かりました、今度、診察の時に最上先生に話してみます」

「ありがとうございます、よろしくお願いします」

そして、立花瑞穂さんはその場を後にした。

私はタクシーでマンションに戻り、今晩、最上さんが帰ってきてから話をしてみることにした。