「俺のメリットは黙って俺の生活スタイルに忠実に従う妻が欲しい」

その女は目を丸くした。

「いいか、普通に男女が付き合って結婚するとわがままが出る、俺が疲れて帰って来ても話相手をしろだの、休みにデートしろだのうるさくて仕方ねえ、でも契約なら俺の生活スタイルに忠実に従って貰う事が出来るだろ」

「あのう、それならずっと一人でいればいいんじゃないですか」

「あのな、俺は親父に結婚を急かされてる、だから結婚しないといけないんだ」

「そう言う事ですか」

「お前に取ってこんないい話はないだろう、ただで最高の治療が受けられるんだからな」

「それはそうですけど……」
「お前は俺の指示に従っていればいい、簡単だろ」

その女はしばらく考えていたが、俺の話に頷いた。

「そのお話をお受けします」

「そうか、決まりだな」

「契約結婚ですよね、ただの契約の関係ですよね」

「そうだ、何が言いたい」

「だから、夜はベッドは別ですよね」