「ごめん、友達と約束しちゃったから、また今度誘って」

この時、瑞穂の俺に対する愛は全く感じとる事が出来なかった。

仕方無いよな、放って置かれて大丈夫な女なんていない。

とんだピエロだ、俺は。婚姻届にサインして、絶対に喜んでくれると疑わなかった。

それからまもなくの事だった。

病院の外線に瑞穂から連絡が入った。

「どうしたんだ」

「ごめん、別れましょう、もう連絡してこないで、それじゃ」

電話は切れた。

俺は何も言えず受話器を置いた。

その夜、瑞穂のスマホに電話をすると「現在使われておりません」のメッセージが流れた。

俺は一方的に振られた形となった。

それから女は信用出来ない。

俺は恋愛する事を封印した。

「俺が勝手にのぼせ上がって、結婚を一方的に考えて、振られたって結末だ」

梨花は俺の話を聞きながら泣いていた。

「お前、泣いてるのか」

「だって、最上さんが彼女の事を一生懸命考えて、婚姻届を書いたのに、彼女は別の男性との道を選んでいたなんて、悲しすぎます」