どう考えても無理。

悠長に入院して手術を受けるなんて、どこをどうしたってそんなお金は払えない。

「とにかく、私は帰ります」

なんだ、この女、なんか訳ありだな。

俺は看護師を一旦診察室から追い出した。

「おい、外に出ていてくれ」

「はい」

そしてその女と二人になった。

「訳ありだな、話してみろ」

その女はしばらく考えていたが、決心したように話始めた。

「お金がないんです」

「金がない?」

「入院して、手術を受けたら、退院の時支払うお金がありません」

「男はいないのか、男に払って貰え」

「そんな人いません」

俺はこの時、いいことを思いついた。

「なあ、俺と契約を交わせ」

「契約ですか」

「お前はこれからこの病院で手術を受ける、俺が執刀医だ、そして全ての費用は俺が出す」

「えっ」

「その代わり、俺の妻になれ、俺達は契約結婚をする、どうだ、これならお前は手術を受けられるだろ?」

「先生のメリットはなんですか」