このことが何を意味するのか、私にはさっぱり分からなかった。

キッチンへ運んでくれて、私を下ろすと「運搬費用加算な」と意地悪な表情で

私を見つめた。

もう、やっぱり意地悪な奴。

でもいつしか、このやり取りが楽しくて、私の中で必要な事になっていった。

パスタを食べ終わり、食器を片付けようとして立ち上がった。

「いいよ、俺がやる、梨花は座ってろ」

「はい」

絶対に何か意地悪な事言ってくると構えていると、あれ?何も言わない。

最上さんは黙って食器を洗っていた。

私は松葉杖で立ち上がり、最上さんの背中から覗き込んだ。

最上さんは、私をちらっと見て「どうかしたか」と一言だけ。

「最上さん、意地悪な事言わないなんて熱でもあるんですか」

私は最上さんのおでこに手を当てた。

最上さんは私の手を掴んで引き寄せた。

「そんなにキスして欲しいのか」

いつもなら「違います」って反論するのに、私は大胆な行動に出た。

最上さんの唇にキスをした。

最上さんも私のキスを受けてくれた。