それなのに彼女は俺との別れを電話一本で済ませた。

しかも外線で最上総合病院の俺宛に電話をかけて来た。
俺は彼女の言葉に何も返せないまま電話を切り、そして彼女と別れた。

あれから七年の歳月が流れた、外線で梨花からの電話を受けた時、良からぬことが脳裏を掠めた、まさか……

外線は嫌な思いしか無い、つい梨花を怒鳴ってしまった。

そう言えば、お互いの連絡先交換はしていなかった。

仕事が終わり、梨花の待つマンションへ急いだ。

「帰ったぞ」

「お帰りなさい」

梨花はキッチンでパスタを準備していた。

「おい、病院へプライベートな事で電話してくるんじゃない、そんなに俺の声が聞きたかったのか」

「違います、連絡しないとお弁当買って来ちゃうと思ったから」

「いいか、絶対に病院の外線使うな」

俺は着替えの為、寝室へ向かった。

梨花は俺の背中に向かってぶつぶつと文句を言っていた。

「聞こえてるぞ」

俺が振り向くと、梨花は頬を膨らまして怒った表情を見せた。