「バカ、俺とキスしたい気持ちはわかるが、俺はその気はない」

なんだ、私の早とちりだった。

でもちょっと気を許した瞬間、最上さんの唇が私の唇を塞いだ。

「んん、ん」

「梨花が可愛かったからご褒美だ」

私はキョトンとして固まった。

「悪いな、午後からの手術はどうしても外せない、許せ」

「はい」

最上さんは急いで病院へ戻った。

ぽつんと一人取り残されて、しばらく最上さんとのキスの余韻に浸っていた。

だって私はキスの経験もない、最上さんがファーストキスの相手だったのである。

お昼過ぎて、お腹が空いてきた。

冷蔵庫を開けると何も入っていない。

最上さんはいつも何を食べているの?

どうしよう。

その時、インターホンが鳴った。l

「コンシェルジュの佐々木です、最上様から頼まれまして、ランチをお持ち致しました」

「はい、今開けます」

ドアを開けると佐々木さんがお弁当を抱えて立っていた。