「だ、誰だ?!」
義孝は声の主を探そうと視線を彷徨わせた。
すると、どこからか青い炎が飛んで来て、義孝の体を吹っ飛ばす。
壁に体を打ち付けた義孝はうぅ、っと呻き声を漏らした。
一瞬のことで何が起きたのか分からない美桜は、呆然とその光景を見つめていた。
と、次の瞬間、ふんわりとあたたかい感触が体を包み込む。
「大丈夫かい?美桜。」
頭の上から振ってきたのは、優しい声色だった。
美桜はこの声を、よく知っている。
数年前と変わらない、穏やかな声。
美桜は震える声で、相手の名前を呼んだ。
「……せい、や……?」
美桜はゆっくりと顔をあげて相手の顔を見る。
琥珀色の瞳、艶のある髪、思わず見惚れてしまうほどの美貌。
美桜は数年前の面影がしっかりと残っていて、だけどより色気が増した彼を魅入られたように見つめる。
美しい琥珀色の瞳は、しっかりと美桜を映していた。
「美桜、約束通り迎えに来たよ。待たせてごめんね。」
星夜は愛おしそうに美桜の頬を撫でる。
義孝に触れられた時は嫌悪感しかなかったが、星夜に触れられるのはとても心地が良かった。
しばらく再会の余韻に浸るように美桜を見つめていた星夜だったが、呆然とこちらを見ている義孝に視線を移す。
とたんに氷のような冷たい眼差しに変わった。
「お前、美桜になにをした。」
星夜に声をかけられた義孝が、はっと我に返ったように星夜に怒りに満ちた視線を送る。
「あんたこそ、誰なんだよ!突然現れて。そいつを離せよ。」
「そいつ、だと?」
星夜の眉がぴくりと上がる。
庇うように、美桜の肩を引き寄せた。
「そいつは俺の婚約者だ!俺のもんなんだよ!」
唾を吐きながら言う義孝に、星夜は怒りの籠った目で義孝を見下ろす。
その威圧感にさすがの義孝もたじろいだらしい、唇をぴくぴくと引きつらせた。
「美桜は俺の花嫁だ。お前のような汚らしい手で美桜に触れるのは許さん。」
地に響くような低い声に、義孝はひぃっと小さく悲鳴をあげる。
「……叔父さん!!叔父さん!!!!!!」
義孝は後ろに後ずさりながら情けない声を上げた。
その声を聞きつけ、両親と胡桃がリビングに駆けつけてくる。
「何があった、義孝……」
三人はリビングの入り口で座り込んでいる義孝を見た後、美桜の方に視線を映し、隣にいる星夜の姿を認めると目を見開いた。
「……お前は…妖か?」
「そうだ。美桜は俺が花嫁として貰い受ける。異論はないな?」
「…なっ!?」
「ちょっとあなた、何を勝手なことを……!」
壮一と沙紀が口を合わせて反論する。
しかし、その反論はすぐに遮られることになる。
星夜が手を掲げると、光が集まっていきみるみるうちに青い炎を作り出していった。
両親と胡桃はひっ…!とひゃっくりのような声をあげる。
「お前達が美桜にしてきたことは全部知っている。そんな下衆な奴らの元に美桜を置いてはおけん。もう一度言う。美桜は俺が花嫁として連れて行く。よいな。」
家族を見下ろす星夜の目は凍るように冷たい。
圧倒された三人はただこくこくと頷いていた。
三人が何もしてこないことを確認すると、星夜は炎を収めた。
あまりの星夜の威圧感に、反抗する気も起きなかったのだろう。
星夜は美桜に視線を送る。
さきほどとはうって変わり、柔らかい笑みを。
そのあまりにも優しくて甘い眼差しに、思わず美桜の心臓は高鳴ってしまう。
頬が一気に熱を帯びていくのが分かった。
「美桜、行こうか。」
「はっ、はい。」
美桜は星夜に肩を抱かれ、リビングを後にした。
最後にちらりと後ろを振り向くと、呆然とこちらを見つめている三人の姿が目に入った。
義孝は声の主を探そうと視線を彷徨わせた。
すると、どこからか青い炎が飛んで来て、義孝の体を吹っ飛ばす。
壁に体を打ち付けた義孝はうぅ、っと呻き声を漏らした。
一瞬のことで何が起きたのか分からない美桜は、呆然とその光景を見つめていた。
と、次の瞬間、ふんわりとあたたかい感触が体を包み込む。
「大丈夫かい?美桜。」
頭の上から振ってきたのは、優しい声色だった。
美桜はこの声を、よく知っている。
数年前と変わらない、穏やかな声。
美桜は震える声で、相手の名前を呼んだ。
「……せい、や……?」
美桜はゆっくりと顔をあげて相手の顔を見る。
琥珀色の瞳、艶のある髪、思わず見惚れてしまうほどの美貌。
美桜は数年前の面影がしっかりと残っていて、だけどより色気が増した彼を魅入られたように見つめる。
美しい琥珀色の瞳は、しっかりと美桜を映していた。
「美桜、約束通り迎えに来たよ。待たせてごめんね。」
星夜は愛おしそうに美桜の頬を撫でる。
義孝に触れられた時は嫌悪感しかなかったが、星夜に触れられるのはとても心地が良かった。
しばらく再会の余韻に浸るように美桜を見つめていた星夜だったが、呆然とこちらを見ている義孝に視線を移す。
とたんに氷のような冷たい眼差しに変わった。
「お前、美桜になにをした。」
星夜に声をかけられた義孝が、はっと我に返ったように星夜に怒りに満ちた視線を送る。
「あんたこそ、誰なんだよ!突然現れて。そいつを離せよ。」
「そいつ、だと?」
星夜の眉がぴくりと上がる。
庇うように、美桜の肩を引き寄せた。
「そいつは俺の婚約者だ!俺のもんなんだよ!」
唾を吐きながら言う義孝に、星夜は怒りの籠った目で義孝を見下ろす。
その威圧感にさすがの義孝もたじろいだらしい、唇をぴくぴくと引きつらせた。
「美桜は俺の花嫁だ。お前のような汚らしい手で美桜に触れるのは許さん。」
地に響くような低い声に、義孝はひぃっと小さく悲鳴をあげる。
「……叔父さん!!叔父さん!!!!!!」
義孝は後ろに後ずさりながら情けない声を上げた。
その声を聞きつけ、両親と胡桃がリビングに駆けつけてくる。
「何があった、義孝……」
三人はリビングの入り口で座り込んでいる義孝を見た後、美桜の方に視線を映し、隣にいる星夜の姿を認めると目を見開いた。
「……お前は…妖か?」
「そうだ。美桜は俺が花嫁として貰い受ける。異論はないな?」
「…なっ!?」
「ちょっとあなた、何を勝手なことを……!」
壮一と沙紀が口を合わせて反論する。
しかし、その反論はすぐに遮られることになる。
星夜が手を掲げると、光が集まっていきみるみるうちに青い炎を作り出していった。
両親と胡桃はひっ…!とひゃっくりのような声をあげる。
「お前達が美桜にしてきたことは全部知っている。そんな下衆な奴らの元に美桜を置いてはおけん。もう一度言う。美桜は俺が花嫁として連れて行く。よいな。」
家族を見下ろす星夜の目は凍るように冷たい。
圧倒された三人はただこくこくと頷いていた。
三人が何もしてこないことを確認すると、星夜は炎を収めた。
あまりの星夜の威圧感に、反抗する気も起きなかったのだろう。
星夜は美桜に視線を送る。
さきほどとはうって変わり、柔らかい笑みを。
そのあまりにも優しくて甘い眼差しに、思わず美桜の心臓は高鳴ってしまう。
頬が一気に熱を帯びていくのが分かった。
「美桜、行こうか。」
「はっ、はい。」
美桜は星夜に肩を抱かれ、リビングを後にした。
最後にちらりと後ろを振り向くと、呆然とこちらを見つめている三人の姿が目に入った。
