「無理矢理だなんて、そんな事は……」

ないとは、言い切れない。

「行け。」

「るか様……」

「行けと言ったら、行け。」

自分で押し倒したくせに、今度は離れろだなんて、自分勝手な人。

私は、起き上がると、ため息をつきながら、るか様から離れた。


廊下を歩いている最中も、るか様の背中が忘れられない。

どうしてるか様は、結婚しているのに、私を抱こうとしないのだろう。


「あっ、帰って来た。」

部屋には、ほのさんが座っていた。

「先ほどの土砂降り、大変でしたね。」

「ええ……」

私は、ほのさんの前に座った。

「ねえ、ほのさん。一つ聞いてもいい?」

「何でしょう。」

「るか様は、私を抱こうとしても、抱いてくれないの。どうしてだと思う?」

胸が切ない。

キリキリ痛んで、私は自分の胸に手を当てた。