仕方なく立ち上がり、元来た道を戻った。


でも、水神様だというのに、外の世界が分からないなんて、有り得るのだろうか。

分からなかったら、どうやって雨を降らしているのだろう。

「なんかだんだん、腹が立ってきた。」

どうして急に冷たくするの?

優しいのか、優しくないのか、分からないよ。


そこに偶然、ほのさんがやって来た。

「あっ、つき様。お風呂が沸きましたよ。」

「ありがとうございます。じゃあ、早速。」

このイライラを、お風呂で解消しよう。

「あっ、ところでほのさん。」

「何でしょう。」

「外の世界の事は、ほのさんに聞いてと言われたのだけど、日照りは直ったのかしら。」

するとほのさんの表情が、固くなった。

「日照りは、まだ続いています。」

「えっ?どうして?」

私が、ここに来たのに、どうしてまだ日照りは続いているの?

「その……るか様の御心が、動かなくて。」