学校の後にファミレスでのアルバイトをこなして、塔子が家路についたのは22時過ぎだった。
自宅には帰りづらく、積もる話もある為、深雪の家にお泊まりすることになった。2日連続の無断外泊も気がひけるので母には友人宅に泊まるとメッセージを入れたが、未読スルーされている。
深雪の家はタワーマンションで、なんとオートロックが2回もある。36階に着くと、絨毯張の廊下をトボトボと進んだ。
昼休みの仮眠でバイトを乗り切るのはしんどかったが、柔らかい絨毯の感触と柔らかく上品な照明が安住を予感させる。
ため息を吐きながら、新島家の重厚な扉の前でインターフォンを押そうとしたら、深雪がハイテンションで飛び出してきた。
「おっつかれー!待ちかねたよ、塔子!」
白くて明るい部屋が出迎えてくれる。
玄関の白い大理石に塔子は遠慮がちにローファーを置いた。
「おかえり!新妻みゆみゆの手作りご飯にする?一緒にお風呂はいる?それとも…わ・た…」
「すっごい昭和だね」
疲れ果てていた塔子もおもわず笑みがこぼれる。深雪のこうゆうところが大好きだ。
「まあ、親は帰ってこないから好きにくつろいでよ!お腹空いてる?」
「すいてるー!」
「待っててよかった一!緒に食べよ」
手作りごはんとは名ばかりの冷食レンチンごはんなのだが、深雪はお皿に並べてチンした時点で手間暇かけてるのだから手作りご飯と言う。
「愛情こめてチンしてますー」
「ありがとう、美味しそう」
40畳はあるLDKは寒々しく、深雪は自分の部屋のベッドの上に冷凍ピザやらグラタンやらピラフをを乗っけたトレイを並べた。
「夜中の糖質にバンザイ!」
みゆきはクイーンサイズのベッドに寝っ転がりながらピザをくわえた。フローリングにひいてあるふわふわの白いファーに座る塔子に「遠慮しないで、どうせ明日は上田さんが来る日だから汚してもこぼしても大丈夫」とベッドに来るように促した。塔子もベッドのへりに座る。
「いただきます」
塔子もピザに手を伸ばした。
「それで昨日何があったの」
「うーん、なにから話せば良いのやら…」
出来るだけ、感情的にならないようにポツリポツリと話出した。しかし白楽の名前が出た瞬間深雪がピザを喉に詰まらせる。
「ふごっ…!ちょ…ちょっと待って」
ベッド脇のレモンティーの紙パックを飲み干した深雪は大きく深呼吸した。
「ふう。白楽って白楽グループの冷泉白楽」
「多分…?今日写真見た限り、同じ人かな」
「この今食べたピザもグラタンも作ってる白楽グループの白楽…」
「レストラン?とかは知らないけど」
「レストランとかじゃないってありとあらゆるものを作ってるんだよ、白楽グループって。戦闘機も多分輸出してた気がする。つまり個人資産1600億の!今をときめくアイドルよりも抱かれたい青年実業家の…まじで冷泉白楽」
「長いよー、そうゆう細かい事はわかんないけど多分本人だと思うよ」
「で、で、で、何があった。続けて」
目を爛々と輝かせる深雪に塔子は気まずくなりながらもどうにか最後まで話をした。
「そんで、キスは!初体験は!なんかないんか」
「ちょっと、そうゆう話じゃないんだってば」
「まー、僕がなんとかする、信じて、また連絡するって言われただけでも凄いよ。多分何でもできちゃうでしょ。自家用飛行機とかも買えそうだもん。いやむしろもう持ってそう…」
深雪は何やらブツブツ言っているが、楽しそうだ。
「でもそんなお金持ちなら、古いハープなんていらないだろうから返してくれたらいいなぁ…」
「そうだよね、2人で芸大行って私は美術学部のデザ科!塔子は音楽学部でハープ!坂を一緒に登って4月から通いたい!サクラサク!その為に塔子あんなに頑張って働いてるもん、すごいよ。神さまがいたら絶対報われなきゃおかしいもん」
未来を2人で想像するとすごく素敵で、絶対叶えたい夢だと塔子は思った。両親に無視されても、妹だけ可愛がられても、自分の頑張り次第で好きなことをやる自由を手に入れて、楽しい生活を送りたい。
「連絡先交換した?」
「してない」
「でも、また連絡するって言われて朝別れたんだもんなあ。まあ、天下の白楽さまにできない事なんてないかー」
「そう…かな…?」
そんなすごい人が何か力になってくれるなんて想像も出来なかったが、塔子は能天気な深雪を見ていると安心することができた。
「よし!明日も学校!風呂入って寝よ寝よ!」
深雪の笑顔に塔子も笑う。今夜は安心して寝れそうと思った。
自宅には帰りづらく、積もる話もある為、深雪の家にお泊まりすることになった。2日連続の無断外泊も気がひけるので母には友人宅に泊まるとメッセージを入れたが、未読スルーされている。
深雪の家はタワーマンションで、なんとオートロックが2回もある。36階に着くと、絨毯張の廊下をトボトボと進んだ。
昼休みの仮眠でバイトを乗り切るのはしんどかったが、柔らかい絨毯の感触と柔らかく上品な照明が安住を予感させる。
ため息を吐きながら、新島家の重厚な扉の前でインターフォンを押そうとしたら、深雪がハイテンションで飛び出してきた。
「おっつかれー!待ちかねたよ、塔子!」
白くて明るい部屋が出迎えてくれる。
玄関の白い大理石に塔子は遠慮がちにローファーを置いた。
「おかえり!新妻みゆみゆの手作りご飯にする?一緒にお風呂はいる?それとも…わ・た…」
「すっごい昭和だね」
疲れ果てていた塔子もおもわず笑みがこぼれる。深雪のこうゆうところが大好きだ。
「まあ、親は帰ってこないから好きにくつろいでよ!お腹空いてる?」
「すいてるー!」
「待っててよかった一!緒に食べよ」
手作りごはんとは名ばかりの冷食レンチンごはんなのだが、深雪はお皿に並べてチンした時点で手間暇かけてるのだから手作りご飯と言う。
「愛情こめてチンしてますー」
「ありがとう、美味しそう」
40畳はあるLDKは寒々しく、深雪は自分の部屋のベッドの上に冷凍ピザやらグラタンやらピラフをを乗っけたトレイを並べた。
「夜中の糖質にバンザイ!」
みゆきはクイーンサイズのベッドに寝っ転がりながらピザをくわえた。フローリングにひいてあるふわふわの白いファーに座る塔子に「遠慮しないで、どうせ明日は上田さんが来る日だから汚してもこぼしても大丈夫」とベッドに来るように促した。塔子もベッドのへりに座る。
「いただきます」
塔子もピザに手を伸ばした。
「それで昨日何があったの」
「うーん、なにから話せば良いのやら…」
出来るだけ、感情的にならないようにポツリポツリと話出した。しかし白楽の名前が出た瞬間深雪がピザを喉に詰まらせる。
「ふごっ…!ちょ…ちょっと待って」
ベッド脇のレモンティーの紙パックを飲み干した深雪は大きく深呼吸した。
「ふう。白楽って白楽グループの冷泉白楽」
「多分…?今日写真見た限り、同じ人かな」
「この今食べたピザもグラタンも作ってる白楽グループの白楽…」
「レストラン?とかは知らないけど」
「レストランとかじゃないってありとあらゆるものを作ってるんだよ、白楽グループって。戦闘機も多分輸出してた気がする。つまり個人資産1600億の!今をときめくアイドルよりも抱かれたい青年実業家の…まじで冷泉白楽」
「長いよー、そうゆう細かい事はわかんないけど多分本人だと思うよ」
「で、で、で、何があった。続けて」
目を爛々と輝かせる深雪に塔子は気まずくなりながらもどうにか最後まで話をした。
「そんで、キスは!初体験は!なんかないんか」
「ちょっと、そうゆう話じゃないんだってば」
「まー、僕がなんとかする、信じて、また連絡するって言われただけでも凄いよ。多分何でもできちゃうでしょ。自家用飛行機とかも買えそうだもん。いやむしろもう持ってそう…」
深雪は何やらブツブツ言っているが、楽しそうだ。
「でもそんなお金持ちなら、古いハープなんていらないだろうから返してくれたらいいなぁ…」
「そうだよね、2人で芸大行って私は美術学部のデザ科!塔子は音楽学部でハープ!坂を一緒に登って4月から通いたい!サクラサク!その為に塔子あんなに頑張って働いてるもん、すごいよ。神さまがいたら絶対報われなきゃおかしいもん」
未来を2人で想像するとすごく素敵で、絶対叶えたい夢だと塔子は思った。両親に無視されても、妹だけ可愛がられても、自分の頑張り次第で好きなことをやる自由を手に入れて、楽しい生活を送りたい。
「連絡先交換した?」
「してない」
「でも、また連絡するって言われて朝別れたんだもんなあ。まあ、天下の白楽さまにできない事なんてないかー」
「そう…かな…?」
そんなすごい人が何か力になってくれるなんて想像も出来なかったが、塔子は能天気な深雪を見ていると安心することができた。
「よし!明日も学校!風呂入って寝よ寝よ!」
深雪の笑顔に塔子も笑う。今夜は安心して寝れそうと思った。