「美鈴怒った顔も魅力的だな」

「私、帰ります」

彼に背を向けてエレベーターの方向へ歩き出した。
その時、彼は私の手を掴んで抱き寄せた。

「美鈴、帰らないで、ごめん、言いすぎた、怒らないで」

「離してください」

「離さない、ずっとこの時を待っていたんだ、ここまで来たんだから部屋見て」

彼は私の肩を抱いたままドアにカードキーを差し込んだ。

部屋に入ると、大きな窓から夜景が広がった。

「わあ、素敵」

「美鈴、気に入った?」

「凄く綺麗です、こんな夜景を毎日見られるなんて羨ましいです」

「ここに引っ越して来たら毎日見られるよ」

彼はそう言って、私の腰を引き寄せた。

彼の顔が急接近して、心臓の鼓動が加速し始めた。

彼は私の唇を塞いだ。

えっ?キス?どうしよう。

次の瞬間、彼の手が私の太腿に触れた。

悪夢が蘇って「イヤ!」と彼を突き飛ばした。

彼はびっくりした表情で必死に謝って来た。

「ごめん、凄く可愛かったから我慢出来なくて先走り過ぎた」