それでいいのかよ、いや、良くない。

僕はなんとか玲子を説得しようと奮闘した。

最終目的は自分との結婚だ。

僕はこの時、玲子と結婚して、玲子を支えて、都築総合病院を継ぐ事を決めていた。

ところが、玲子は見合いの相手と結婚してしまった。

「戸倉くん、今までありがとうね、戸倉くんがいなかったら、私は剣崎くんの元に行っていたかもしれない」

「何言ってるんだ、これからも一緒だろ?」

「私ね、結婚したの」

「えっ?」

「お見合いしたお医者様と婚姻届提出したの」

「嘘だろ?」

僕は驚きを隠せなかった。

「私ね、そのお医者様と都築総合病院を守っていかないといけないから、
戸倉くんとはもう、会えない、さようなら」

玲子は僕にそう告げると、僕に背を向けた。

信じられない、既に玲子が人妻だなんて。

あまりの急展開に戸惑いを隠せなかった。

僕は剣崎の墓参りに向かっていた。

「おい、剣崎、僕はお前との約束守れなくなった、ごめん」

「戸倉、そんな事ないよ」