「でも、二人になるのを拒んでいるみたいなんだけど……」

そう言う事だったのかと、今更ながら納得した。

僕は剣崎から受け取った手紙を握りしめて、誓った。

剣崎、約束するよ、玲子を守って行く。

それから僕は、玲子をなるべく外に連れ出した。
「なあ、玲子、剣崎はお前のこと大事に思っていたよ、いつでもお前を守ってくれている」

「そうかな」

僕は玲子に剣崎からの手紙を見せた。

玲子はゆっくりと噛み締めながら手紙を読んでいた。

玲子の目に涙が溢れて頬を伝わった。

それから玲子は少しずつ、元気を取り戻した。

玲子は休学していた大学を中退した。

「戸倉くん、私、お見合いする事になったの」

「見合い?」

「お父さんの知り合いのお医者様で、都築総合病院を継いでくれるんだって」

僕の目の前が真っ暗になった。

「ちょっと待てよ、それでいいのか?」

「もう、どうでもいい」

玲子は納得しないまま、父親の言うなりに見合いして、結婚しようとしている。