『戸倉建設株式会社社長夫人、十五年前の隠された未遂事件の全貌』
秘書の真莉から連絡が入り、記事掲載の事実が知らされた。

「慶、大変なことになったわ、奥様の十五年前の未遂事件が週刊誌に掲載されることになったの」

「どう言うことだ」

「兎に角会社で策を講じないといけないから早くきてくれる?」

「わかった、すぐ行くよ」

俺は美鈴に事情を説明した。

「美鈴、心配はいらない、俺を信じて待っていてほしい、いいな」

「大丈夫でしょうか?」

「大丈夫だよ」

そう言って俺は会社に向かった。

会社では相当な騒ぎになっていた。

頭の硬い役員連中は離婚も視野に入れて頂きたいなどと、ふざけたことを言いやがる。

冗談じゃない、俺がどれほどの思いで美鈴と結婚までこぎつけたと思ってるんだ。

俺は美鈴と離婚するぐらいなら社長を辞任する覚悟でいた。

「社長、奥様の記事はスキャンダルです、会社に取って大ダメージです」

「未遂だったんだぜ、なんの問題もないだろ」