俺は美鈴の言葉を遮り、美鈴を引き寄せ抱きしめた。ギュッと……

「慶さん」

俺は自分の気持ちばかり優先して、美鈴の気持ちを考えられなかった。

抱きしめたいから引き寄せる、我慢出来ないから引き離す。

美鈴の気持ちを考えずに、えっ、美鈴は俺を大好きって言ってくれたよな。

「美鈴、ほんと?」

「はい、反省しています、だから私を嫌いにならないでください、私、慶さんに嫌われたら……」

「そうじゃなくて、俺を大好きって……」

「あの、その、こんな私に大好きって言われてご迷惑かもしれませんが……」

俺は美鈴をギュッと抱きしめた。

「もう一回言って?俺を大好きって」

「慶さんが大好きです」

俺は美鈴のおでこにキスをした。

「慶さん」

「ん?」

美鈴は俺の頬にキスをしてくれた。

少しずつ氷が溶けて行くように美鈴の気持ちが俺に向いて行く様子を感じた。

気持ちと共に身体も……

そんな矢先の出来事だった。

この間の週刊誌の記者が美鈴の十五年前の未遂事件の記事を掲載したのだ。