そんな時、週刊誌の記者が現れた、私はどうすればいいの?

私は食事から戻って、過去の事件について慶さんに話す勇気が持てずにいた。

それからしばらく平穏な日々が流れた。

取引先主催のパーティーが開かれる事になった。

もちろん、戸倉建設社長夫人の私は、慶さんと共に取引先のパーティーに出席する事になった。

「美鈴、すごく綺麗だよ、やっぱりこのドレスで正解だったな」

「なんか恥ずかしいです」

もちろん秘書の真莉さんも一緒だった。

いつも慶さんの側に方時も離れず、まるで真莉さんの方が奥さんみたいに慶さんと並んでいた。

そんな時、一人の男性が私に声をかけて来た。

以前マンションの公園で声をかけて来た週刊誌の記者だった。

「お久しぶりです、戸倉美鈴さん、旧姓葉村美鈴さん」

私は嫌な記憶が蘇り、頭を抱えてその場にしゃがみ込んでしまった。

周りがざわつき始め、すぐに慶さんが気づいて、私に駆け寄ってくれた。

「美鈴、大丈夫?」