そして私の腕を掴んで、詰め寄った。

その時、私とその男性の間に割って入って来た人がいた。

「慶さん」

「人の妻に近づくな」

「奥さん、また話聞かせてください、じゃ」

私は小刻みに手の震えが止まらなかった。

「美鈴、大丈夫か」

「はい」

「帰ろう」

俺は美鈴の震えていた手を握って、何も聞かずにマンションの入り口へ向かった。

部屋に入り「美鈴飯は食ったか」と声をかけた。

すると「いいえ、まだです」と返事が帰ってきた。

「俺もまだだから一緒に食うか」

「えっ?真莉さんが食事は打ち合わせの後済ますと慶さんからの伝言を伝えてくれましたけど、お食事召し上がっていないんですか?」
「そんな伝言頼んでないけどな」

思いもよらぬ美鈴の言葉に驚いた。

「急いで支度します」

「外に食いに行こうぜ」

「はい」

美鈴は車の中で、真莉の事を聞いて来た。

「慶さん、なんで真莉さんと結婚しなかったんですか」

俺は驚いた表情を見せた。

「真莉の事は誰から聞いたんだ?」