「あの二人別れたのかな、もしかして奥さんになると秘書は難しいから、真莉さんは愛人だったりして」

「じゃあ、まだ、続いてるって事?」

「だって、あの身体、社長は離れられないでしょう」

「だよね、二十五なんだから我慢出来ないでしょ」

「あの奥さんじゃ社長を満足させられないよね」

私は個室から出られずにいた。

やっと、女子社員が出て行った。

やっぱり、恋人だったんだ、いや、今も恋人同士なんだ。

だから、私とプラトニックでも大丈夫って言ったんだ。

今日だって、打ち合わせとか言ってたけど、デートだったりして、食事いらないっていってたし。

私は化粧室から出て、ビルの出口にふらふらと歩いて行った。

出口で運転手の山田さんが待機してくれていた。

「奥様、マンションまでお送り致します」

「あのう、大丈夫です、電車で帰ります」

「それでは私が社長に叱られます」

「大丈夫ですよ、メールしておきますから」

私は一人で駅に向かった。