私は葉村美鈴、葉村家の長女である。
葉村の父とは血の繋がりはない、私は母の連れ子で母が再婚してから妹が産まれた。
父は建築設計事務所の社長をしており、でもはっきり言って経営は赤字続きのようだ。
私は恋愛には程遠い生活をしている。なぜなら過去に辛い経験をして、もう誰かを愛する事に自信が持てないのだ。そして恋愛から逃げて仕事に打ち込んだ。
だから私が家計を支えていると言っても過言ではない。
疲れた、最近残業続きでくたくただ。
そんなある日、父の会社が倒産に追い込まれる事態になった。
父は頭を抱えて悩んでいた。
そこへ戸倉建設株式会社の御曹司、戸倉慶が我が家を訪ねて来た。
「はじめてお目にかかります、自分は戸倉建設株式会社の戸倉慶と申します」
父はそんな大企業の御曹司が何の用事なのかと首を傾げていた。
「突然で失礼かと存じますが、葉村建築設計事務所の借金を自分に払わせて頂けないでしょうか」
「はい?あのう、仰ってる事がわかりかねますが」
戸倉慶は話を続けた。