放課後、図書室にいると。
「お、里奈……どうかしたか?」
 東堂君。どうかしたけど、言いにくい。
「なんでもないよ?」
 私は誤魔化した。
「……ホントに?」
「ホントに!」
 私と東堂君は、話しながら寮に戻ろうとすると。
「蓮!ちょっと来て!」
 そう叫んでいるのは、秋川さんだ。
「……ったく。ごめん。先行ってて。じゃあなー!」
 そう言って、東堂君は、秋川さんの所へ行ってしまった。
 秋川さんも東堂君も楽しそう。
「ちょっと……木陰に行こ」
 幼馴染みだから、仕方ないのかな。
「んーやっぱり、気になっちゃう!」
「……何が?」
「んー?って、うわっ!東堂君⁉」
 気になっていた、東堂君が目の前にいるし。
「だから、『東堂君』じゃなくて、『蓮』って呼べよ。ってそれじゃなくて、何が気になんの?」
「……蓮と秋川さんのことだよ」
 ボソッと呟いた。
「俺と笑真?」
「うん……」
 なんだか、涙が出てきそうだ。
 少しだけ挫けそう。
「どうして俺と笑真が気になるんだ?」
「なんだか、私といるより楽しそうだから……あはは、呆れるよね」
 そう言うと。
 蓮が私のことを抱きしめてくれた。
「里奈といて、楽しいことが増えたよ?ごめん。傷つけていたな」
 蓮が謝ることないのに。
 私は涙が溢れてきた。
「ありがとう。蓮……」