寮に戻ると、すずが本を読んでいた。
「ただいまー!」
「おかえりー」
 すずが読んでいる本。
 この間ショッピングモールに行った時買った本だ。
「その本、面白い?」
 私が聞くと。
「うん。面白いよ。買い物行って良かったねー!」
「そうね」
 あ、もう少しで夕食ね。
「ねぇ、すず。もう少ししたら食堂に行こう?」
「うん!今日のご飯なんだろね」
 そうして、食堂へ行くと、やはり、東堂君の周りは騒がしい。東堂君が私のことを見つけると、笑ってくれた。
 そして私も笑い返した。
 前みたく睨んだりはしないよ。
 寮に戻り、休んでいると。
「ねぇ、里奈って東堂君のこと好きなの?」
 ニヤニヤとすずが聞いてきた。
「どうしたらそうなんの?別に好きじゃないよ」
「え?だって、前だったら里奈は東堂君のこと睨んだりしてたのに今はニコって笑ってたじゃん!」
 それのどこが好きと繋がるのか。
「それって、好きと繋がる?ニコってしてないし!」
「今は自覚ないかもしれないけど、いつかそれがひっくり返るように変わるからね」
 言っていることの意味が分からない。
「じゃ、おやすみー!」
 そう言って、すずは寝てしまった。
 東堂君を好きなんて天地がひっくり返ってもあり得ない。
 そういうすずはどうなのだろうか。
「おはよ」
「おはよう、里奈」
 私とすずは食堂に向かった。
 そして、授業を受ける。
 いつもと変わらない日々。
 いいや。いつもは起きない事が今起きていた。
 休み時間、すずと移動していると。
「えー!なに?ケンカ?」
 学園の子達が騒いでいた。
「……って、あやかし同士のケンカじゃん」
 あやかし同士のケンカはとても危険と言われている。
 なぜかというと、あやかしは力が強いとか、特殊能力があるとか、私たち人間とは全く違う力を持っているため、ケンカが起 こっただけで大惨事。
 人間のケンカなら、自分達で解決出来るんだけど。
「おらぁぁぁ!!」
 ついに、一人のあやかしが力を出した。
「ねぇ!あれってヤバイよね?先輩呼んできた方がいいかな?」
 たくさんの生徒達が集まり、動揺していた。