家にお風呂がないとかで、親から回数券を渡されて、通っているらしい。
それが、いつ頃からか、銭湯に来なくなり、久しぶりにきたと思ったら、ガングロコギャル、というメイクをするようになり、世間一般で言うところのヤマンバになっていた。
「どうも、いじめに遭ってるらしい」
おばちゃんも、本人に聞いたわけじゃないらしいが、あるとき、銭湯の前で、ずぶ濡れになっている彼女を見かけ、どうしたのと聞いたが、何も言わなかったという。
とにかく、風呂に入れて、服を預かり、風呂に入っている間に、服を乾かしてあげた。
その時に、彼女の身体に、生傷がいくつもできていたのに気づいたという。
でも、彼女は何も言わず、ただ、前よりも更に元気で大きな声で、銭湯に通うようになった。
「元気になったわけじゃなくて、やせ我慢をしてるだけだと思うんだけどね」
周りの人に心配をかけまいとして。
より明るく。より強く。私と正反対に。
そしてきっと、親にも本当のことを言ってない。私と同じく。
「おばちゃん、どう?」
風呂から上がり、バスタオルで身体を拭く。拭いても拭いても汗が出る。
大きな扇風機の最大風速の風にあたり、身体を拭いて、髪を乾かす。
とりあえず、身体はタオルをまいたまま。
銭湯のおばちゃんが、
「超オッケーよ!」
ヤマンバの制服のYシャツとスカート、私の浴衣、そしてそれぞれの下着まで、全部、ハンガーに掛かって、扇風機の風にさらされて、キレイに乾いていた。
「さっすが、おばちゃん、チョベリグ!」
「チョベリグ!」
おばちゃんもノリノリで返す。
浴衣は、ちゃんと手もみ洗いをしてから、乾かしてくれたらしい。
「簡単には洗ったけど、ちゃんとクリーニングとか、出した方がいいよ」
そう言ってくれたけど、何も問題はなさそうだった。
「あ。お金」
銭湯代に、浴衣まで洗ってもらって。でも、 払おうとしたが、ふたりして拒否された。
「いつものことだし」
いつも、お風呂代だけ払って、服は洗ってくれてるらしい。なんて太っ腹な銭湯だ。
「すみません」
そういうと、彼女とおばちゃん、ふたりして渋い顔になった。
「え、何?」
『チョベリバ〜』
ヤマンバとおばちゃんが、ハモって言った。
「違うっしょ」
なにが?
「人に何かしてもらったら、すみませんじゃなくて、ありがとうでしょ」
そうだ。
それが、いつ頃からか、銭湯に来なくなり、久しぶりにきたと思ったら、ガングロコギャル、というメイクをするようになり、世間一般で言うところのヤマンバになっていた。
「どうも、いじめに遭ってるらしい」
おばちゃんも、本人に聞いたわけじゃないらしいが、あるとき、銭湯の前で、ずぶ濡れになっている彼女を見かけ、どうしたのと聞いたが、何も言わなかったという。
とにかく、風呂に入れて、服を預かり、風呂に入っている間に、服を乾かしてあげた。
その時に、彼女の身体に、生傷がいくつもできていたのに気づいたという。
でも、彼女は何も言わず、ただ、前よりも更に元気で大きな声で、銭湯に通うようになった。
「元気になったわけじゃなくて、やせ我慢をしてるだけだと思うんだけどね」
周りの人に心配をかけまいとして。
より明るく。より強く。私と正反対に。
そしてきっと、親にも本当のことを言ってない。私と同じく。
「おばちゃん、どう?」
風呂から上がり、バスタオルで身体を拭く。拭いても拭いても汗が出る。
大きな扇風機の最大風速の風にあたり、身体を拭いて、髪を乾かす。
とりあえず、身体はタオルをまいたまま。
銭湯のおばちゃんが、
「超オッケーよ!」
ヤマンバの制服のYシャツとスカート、私の浴衣、そしてそれぞれの下着まで、全部、ハンガーに掛かって、扇風機の風にさらされて、キレイに乾いていた。
「さっすが、おばちゃん、チョベリグ!」
「チョベリグ!」
おばちゃんもノリノリで返す。
浴衣は、ちゃんと手もみ洗いをしてから、乾かしてくれたらしい。
「簡単には洗ったけど、ちゃんとクリーニングとか、出した方がいいよ」
そう言ってくれたけど、何も問題はなさそうだった。
「あ。お金」
銭湯代に、浴衣まで洗ってもらって。でも、 払おうとしたが、ふたりして拒否された。
「いつものことだし」
いつも、お風呂代だけ払って、服は洗ってくれてるらしい。なんて太っ腹な銭湯だ。
「すみません」
そういうと、彼女とおばちゃん、ふたりして渋い顔になった。
「え、何?」
『チョベリバ〜』
ヤマンバとおばちゃんが、ハモって言った。
「違うっしょ」
なにが?
「人に何かしてもらったら、すみませんじゃなくて、ありがとうでしょ」
そうだ。