25歳の誕生日を迎える前日。
朝の情報番組を見て、固まる。

「うわっ……三谷隼人さん、胡散臭い気はしたけど、人気アイドルのピュア姫ガールズの舞浜美帆《まいはまみほ》と交際してて妊娠させて捨てたんだ。最低」

Safariでヤホトピを見ると、1年間交際を重ね、去年の年末に三谷隼人さんが別れを切り出したと書かれてた。

このスキャンダルで三谷財閥のCEOの座から下されるのは必須とかなり叩かれてた。

篤志宮司に私がデートの誘いに乗らないと連絡を入れたのも三谷隼人さんだったらしく、篤志宮司から私に三谷隼人さんとの交際にストップの電話がかかってきた。

三谷隼人さんとは3度だけ食事に行っただけで、側からそういう目では見てなかった。

私になにかとちょっかいを出してきてた須藤結弦も、曲作りがスランプに陥り、新曲を作れず曲提供を依頼していた三谷電機と揉めてた。

神通力のある巫女は25歳になるまでは神の力が宿るからか穢されないために、近く男に対して災を起こし、巫女から身を引かせる。

「真宮くんじゃなく翔真さん、私と関わったから何か災難に見舞われてない?」

翔真さんにも災が降りかかってないか気になり、早朝にLINE通話をかけた。

『佐伯さん、おはよう。特に何も変わった事は起きてないよ。佐伯さんから電話をきて嬉しいな。あっ、佐伯さん、明日25歳の誕生日だよね。明日、22時に時間を作ってくれないかな?遅い時間だけど巫女のお務め終わりの祝いをしたい』

多忙な翔真さんが朝の忙しい時間に私からのLINE通話をとってくれて、私の誕生日にディナーに誘ってくれた。

「……翔真さんに災が降りかかってなくてよかった。明日、嬉しい。楽しみにしてる」

『レストラン予約できならLINEメッセージ送る。じゃ、明日」

通話を終え、翔真さんには災いが起きてない事にほっとした。

両親が自殺し母方の実家に引き取られ、大和グループとして安田財閥、浅田財閥、中倉財閥の連合会社のCEO候補に上がるまでのし上がった翔真さん。
翔真さんをまた不幸のどん底に堕としたくなかった。