「これが最後の質問だ。
 これに答えれば、俺はあんたのついたウソを
 今回だけは許してやる。もちろん次はない。」


血と泥にまみれた顔に、水瓶の水をかぶせた。
老人はすでに寒さと死の恐怖に、
奥歯を鳴らして震えている。


「このまま土の中で犬に食われて引退するか、
 俺に仲介の仕事を託して幸せに引退するか。
 好きな方を選べ。」


老人は顔から汁を流し、何度もうなずく。
匂いはウソをついていない。


ロンドンはこれからも労働者が増え、
産業革命は大勢の死者を生産し続ける。


残念なことにこの仕事は、
これからもっと忙しくなる。


俺はとうとう堪えられなく笑った。


人間、仕事は選べない。
さて、俺に貴族のマネは似合うだろうか。




(了)