桜がなくなった木々の間から燦爛たる光が差し込む中庭は夏の空気に包まれていて、カーテン状の木漏れ日が優しく地面を照らしている。

緑色の葉がずらりと並んでいて、一見涼しそうに見えるけれど、夏の眩い陽光が私を容赦なく照りつけるし、炎天下のアスファルトから熱がじわじわ上がってきてとてつもなく暑かった。



時折吹く熱風が私の髪を揺らすと、汗でびっしょりのこめかみに髪がくっついて気持ちが悪く、キリがないけれど、制服のポケットから取り出した水色のハンカチで汗を拭う。



すこし動いただけで滲んでくる汗を拭いながら木々の真下に設けられたベンチに腰を下ろしてある人を待っていると、放課後の喧騒が聞こえてくる。




真っ青な空に浮かぶ数すくない雲、直視できないほど輝いている太陽は私の心と真反対で、ここから見えるグラウンドにも同じく輝く生徒たちの姿がある。




ボールを追いかける音、ボールを打つ音、蹴る音、歓声、掛け声が聞こえてきて。

人が動く度に舞う砂埃、光る汗を拭う姿、こんがりと焼けた肌、仲間とともに浮かべる笑顔が目に映って。



砂煙を巻き上げながら走る陸上部の声、ゴールが揺れるまでボールを蹴るサッカー部の声、カキーンと大きな音を立てながらボールを打つ野球部の声、そして後ろの体育館から聞こえてくる、バスケ部とバレー部の声が耳を刺激して。



校舎内から聞こえてくる演奏音は中庭、グラウンドにまで響き渡っていて。




いつも通りの喧騒だけれど、今日はより一層うるさく感じてしまった。