雨の音がする。
薄っすらと目を開けて、目を覚ます。
どんよりとしたジメジメとした空気感が漂っている。
今日も1日が始まる。ベッドの上から身を起こす。夢の余韻に浸っていたいが、もうなんの夢を見ていたのか忘れてしまった。なんだか、怖い夢を見ていた気がする。でも、いい。夢だから。夢の中では何をしたっていいから。失敗したって、嫌なことをされたって、だって、それは夢の中の世界だから、と割り切りることができる。夢でよかったと思えることは、ありがたいこと。
なんなら今、この世界も夢だったらいいのにと思う。
同じような毎日はつまらない、とよく人は言うけれど、私にとっては、1日1日が重たく、憂鬱だ。今日は何が起こるのだろうか、何も起こらなければいいのに、といつも思う。でも、そんな思いは、ただただ虚しいだけだと、私は知っている。同じような毎日が続くということは、ひどく贅沢だ。
私にとっては、ありえないぐらいの贅沢。

お母さんが作ってくれた朝ごはんを食べ、仕事に行くお父さんをいってらっしゃい、といつものようにお母さんと見送り、自分も行ってきます、と家の扉を開ける。ずっと暖かな家にいたいけど、心配させるわけにはいかない。
扉を開けて、外の世界へと足をだす。お腹がキュッと痛くなるのを無視して学校へと私は行く。
そういえば、昨日のあの人は何だったんだろう。
夢?