ミルキークォーツ


私は生まれた時から、『人』という種に生まれたことに不満を持っていた。それにはいくつかの理由があったが――
・私は生まれつき身体能力が非常に高かった(同年代と比べるとかなり上だった)こと。
・私の家系は少し特殊で、代々魔法と剣術を習っていたから私も物心ついた頃には自然と学んでいたし、何より私は自分が魔法使いであることがとても嬉しかったから、特に気に留めることもなくそれを続けていた。
・ところが、私が十歳の頃に起こったとある出来事がきっかけで、私は「魔法使いとしての才能がない」ということに気づいてしまった。そして同時に、今までやってきたことが無意味になってしまったことも理解してしまった。
私はその日から何かに取り憑かれたようにひたすら本を読み漁り、少しでも多くの知識を得て自分の中に蓄えようと躍起になった。
そんなある日のことだった。たまたま本の中に挟まっていた一枚の紙に目が留まり、そこに書かれていた文章を読んでいる最中の私の中から突然“ある感情”が生まれてきて、そこから次々と新しい考えが生まれてきたのだ。 この“感情”とは一体何だろう?
私はこの感情を何と呼んでいいのか、どう名付ければいいのか分からなかった......だからこの想いを誰かに伝えたくて堪らなくなっていた。そして今日、私はようやくそれを伝えることができた......! しかし、それはあまりにも突拍子もない話なのできっと信じてもらえないだろうとも思っていたのだけど――
人魚姫は英雄の夢を見るか - 16.英雄になる条件(1/7) - ンはずっと昔に読んだ絵本の内容を思い出そうとしていた。
昔むかし、お城に住むお姫様のもとに一人の王子さまがやって来ました。
彼女はとても優しく素敵な王子様に恋をしてしまったのですけれど、実は彼女には誰にも言っていなかった秘密がありました。それは彼女が魔女であるということでした! 王子様はそのことを知った時ひどく驚きましたが、それでも彼は彼女を好きでいましたので二人は結婚しました。 それからというもの、幸せな日々が続いておりましたが、ある日突然彼女の身に異変が起こってしまいました。なんと急に身体が透け始めたのです。最初はほんの一瞬でしたが少しずつ透明度が増していきついにはほぼ完全に見えなくなってしまったのです! そんな彼女を見て驚いた王子様ですが、そんな彼に向かって彼女はこう言いました。「......みんなには内緒だよ?」
fin.
※1
:
3人の少女は大広間にいた。
人魚姫は英雄の夢を見るか - 17. 王妃となる少女(2/2) - ンはお姫様のことを尊敬していました。優しくて美しくて何でもできるお姫様はとても魅力的に見えたからです。でも、だからこそ彼女にとって自分は邪魔でしかないのだと分かってしまうことがとても悲しくもありました。(了) 2/2以降、作者は3人が出会う前のお話『the
end』を書いています。そのため、3人と出会うまではどのような人生を歩んでいたのかは一切不明です。本作では主人公と3人の少女が出会った後のことを独自に解釈して描いています。ちなみに、原作で登場していない人物たちや動物などは意図的に登場させていません。
人魚姫は英雄の夢を見るか - 18. the created skeleton - ンとグリム童話が大好きだったのは一体誰だっただろうか? - ト・ストーリーより抜粋
「さて、次はどれにしようかな?」
私が今何をしているのかというと、宝探しをしている。
別に遊んでいるわけでは無いぞ、ちゃんと理由がある。というかむしろ遊んでる場合じゃない。なんたって今日は年に一度の大イベントなんだからな!
そう、今日はクリスマスだ。そして明日は元日、つまり大晦日だ。つまり明後日に私の両親から一通ずつ私宛に手紙が来ることになっているのだが......ぶっちゃけ何を書けばいいのか分からないし手紙じゃなくても良いだろと思っているのだ。いやまあもちろん私はそれなりに真面目に書いたつもりだけどさ、あの人たちに送るなら直接口で言った方が絶対楽だし早いと思うんだよ。「ねえグリム、これってどういうふうに書けばいいの?
お母さんに手紙を書くなんて初めてだから何を書いていいのか分かんないよ」 私はそう言ってグリムに問いかける。しかし帰ってきた答えはあまりにも非情なものだったのだ。「そりゃもちろん、“今年も一年ありがとうございました”とか“また来年もよろしくお願いします”みたいなもんでしょ?」
確かにそれもありなんだけどさ......なんていうかもうちょっと他に何か無いのかな。「えー......じゃあ、お義父さんにお義母さん、今年も一年お世話になりましたって書くけど......」 それはそれで違うような気がしないでもないが、まぁそれは後で考えるとして......もうちょいなんか無いのか!?「うーん、あとはどんなのを書いたらいいんだか......あ、そうだ!」 するとグリムが何やら思いついたように声を上げる。その様子を見ていると嫌な予感しかしないが気にしたら負けな気がするのでここはスルーしよう。「こういうのはどう? これからも