パパゴアイト

私は、一人の女だ。
いや、嘘はやめよう。
私の名前は”メフィスト・フェレス”。転生者であり、悪魔公(デーモンロード)の一人であるメフィスト二世が父と崇める魔界の大伯爵である。
真・恋姫†夢想 - 第1話 - ンは
「なぁ、真名って知ってるか?」
とある昼下がりのことであった。彼は突然そう言い出した。
彼の名は魔界大公こと混沌王にして自称一万年以上を生きる死蝋の青年”不完全体な大悪魔”メフィスト二世の下僕であるこうもり猫だった。 こうもり猫のことはこの際どうでもいいだろう。問題は、彼が言った“真名”とやらの方だ。 実はこう見えて二世は人里離れた高層ビルの屋上に隠れ潜みつつ情報収集に励んでいた時の事。たまたま見つけた『人間に関する歴史書』の中で何気なく目にした言葉に衝撃を受けていたのだ。『......真の名を知る者は心を許した者にのみその者の名を尋ねる権利を持つとされる神聖不可侵の名...?』 この『人間の世界の歴史書』を読んだ瞬間にこう思ったという。
『この俺も真名を持ってみてぇ!』
真名の神聖性には興味があったし何より自分も使ってみたいと思ったのは事実だ。 しかし、
『でも俺は一人しか愛せないとかクソつまんねぇ縛りあるしな~』『それに俺ぁ真名が呼べる相手なんざ居なくて友達すらいないボッチだし...』
などと考えて結局名付けないままでいたのであった。まぁ、それも仕方が無いのかもしれない。 なにせ、『こんなお偉い悪魔様にゃあ俺みたいな根無し草よりいい男なんて星の数ほど居るだろうしな~、わざわざ俺が選ぶ必要なんかないさ』
fate/project × 真・恋姫†無双 (漢ルートrta) - 1-1 - ンは ̈好き です - ジング - ンと
そこは地獄であった。否、地獄と言うよりは煉獄と言ったほうが近いのだろうか?少なくとも人間が生きていていいような場所ではないということはハッキリと理解出来た。何故ならばここは人間にとって紛れもなく最悪の地なのだから。
そこはまさしく『炎獄(えんごく)』と呼ぶべき凄惨極まる光景が広がる地獄絵図だったのだから。
―燃え盛る業火、凍てつく冷気によって荒れ狂う灼熱の大海、血肉が腐った悪臭を放つ瘴気にまみれた暗黒空間。そんな禍々しき魔境の中を二人の少女が息を切らせながら必死になって駆け抜けていく。「ああもうっ!何なのよコレはっ!!?」「わかんないよっ!!」彼女達が逃げている背後では激しい銃声が鳴り響き、そして怒号や悲鳴、何かが崩れ崩れるような轟音が耳を打つ。それはまるでこの地を地獄たらしめているのは他でもない、彼女ら自身の生還を拒むかのように。だが少女たちはそんな事を考えている暇はないと言わんばかりにひたすら逃げることに集中している。いや正確にはそうせざるを得ないのだろう。なぜなら彼女たちはその手に握られた武器を使って目の前の敵を倒す事を躊躇してしまったのだから。
―ガァァァァンッ!!!
「ッ!!!」突然の爆発音と共に少女の目の前に弾丸が落ちてくる。もし一瞬反応するのが遅れていたら、恐らく直撃は免れなかっただろう。運良くそれを避けれた少女は、それが飛んできた方を見る。そこには一人の男がいた。男の名は『北郷
一刀(ほんごういっとうかずと)』、この大陸においては知らぬ者はいないとされる伝説の傭兵剣士である。その伝説的な活躍ぶりゆえに数多くの英雄と呼ばれる者達からも尊敬されている。また彼の持つ数々の逸話は現代においてもなお語り継がれており、その名を知らない者はいないであろう。しかしそんな彼も今となってはボロボロになった服を纏い、身体中傷だらけとなっていた。彼は今まさに目の前で対峙する怪物に対してたった一人で戦っている真っ最中だったからだ。「ぐっ...ああっ!」彼の周りには既に五人程の男女が横たわっていた。いずれも皆既に事切れているのかピクリともしない。それもこれも彼らが一心不乱にこの男に向かって襲い掛かり、返り討ちにあってしまった結果だ。もはや彼らの死骸の数は既に十を超えている。つまりこの場で生きているのはこの男ただ一人なのだ。
「...どうしてこんな事をするんだ」男は静かに語りかけてくる男に対して答える。「......どうしても何も無いさ。お前こそ何のつもりでここにいる。さっさとここから立ち去らなければ