エレスチャル
第0章 - 第1話『2つの転校生』第3節/最終話/エピローグ(終)_「明日への扉」 - 第4話〈新校舎と、聖歌〉 - ンッ
その日の朝は、雨で始まった。
朝のhr前、教室に現れたのは担任である真木野(まきの)紗耶香(さやか)だった。
彼女はクラス全員の顔を見渡して挨拶すると、「皆さんに大切なお話があります」
そう言って席に着いた。「皆さんご存知の通り来週末に試験があります」
生徒たちから驚きの声があがったが、それはいつものことで誰も驚いた様子はなかった。「実は中間テストの結果を元にした個別課題が出されました。内容は各人にお任せします」 そこまで言ったところで、突然教室内に笑い声が起こった。「あのさ先生、この“個人”ってのは誰のこと?」
クラスの男子の一人が手を挙げた。成績優秀スポーツ万能な彼は学年でも一番の成績者なのだという。しかし真木野先生は冷静に返答するだけだった。「......貴方です。岩瀬(イワセ)」
クラス一同の視線が彼に集中した。「......」 それでも彼は黙ったままだった。「岩瀬くん?
聞いているんですか?」「聞いてるっつーか、どうでもいいって思ってるだけなんだけどな......ったく」 ようやく返事を聞いた途端、それまで無言を貫いていた沙耶香が大声で言い放った。「そんなんでいいの!? もっとやる気出してよ!」 そう言われても彼は面倒くさそうに頬杖をついたままだった。「だって俺、勉強なんて好きじゃないし」 その時、突如としてドアが開く音がして教師が現れた。「はいはい。話はあとで聞くわねー!
もう授業始まるわよー!」 担任が来た以上、これ以上私語を続けるわけにもいかず教室内は一瞬にして静かになった。「では続きまして――」
そして午後の授業が始まった。「――ですから次の問題文の中で間違っている箇所を答えている人はいますか?」 数学の授業中、私は教科書に目を落としたまま考え込んでいた。(今日はちょっと早めに切り上げた方がいいかも......) そんなことを考えながら、ふと隣の席に座る彼の様子が気になった。
落雷で倒れていた彼を助けたあの日以来、一度も言葉を交わしていないのだ。私は助けてくれたお礼さえ言えていない。それなのに―― (また一緒に帰ることができるのかな?)
デビルズ・コンフリクトreverse - 第5話 『ふたりめの悪魔』(了) - ンは昼休みを迎えるや否や一目散に屋上へと駆け込んだ。 誰もいないことを確認した後、大きく深呼吸をした彼はフェンスの上にそっと腰掛けた。空を見上げると雲ひとつない快晴が広がっている。(さて......どうすっかな。昼メシは食べたけど食欲ねえしな~......まあいいや、後で適当に食えばいいだろ)
そう自分に言い聞かせると、彼はポケットからスマホを取り出した。 だが次の瞬間、その手は止まった。『俺は人間の命を救うためなら何だってやってやる』
先日出会ったばかりの少年の声が脳内に響く。 そして彼は思わず自嘲気味に笑った。「ハハッ......そういやそうだったよな。お前の言うとおりだ......」 今一度深呼吸をすると、少年はスマホを握り締めて立ち上がった。「よしっ! まずはアイツだな!」 そう言って屋上を後にした彼は、そのまま校舎の中へと消えていった。
devil may cry ~魔剣使いの学園生活~ - mission 1-1 その名はダンテ/魔剣士と少女たちの物語の始まり - んあ~、よく寝た! え? まだ4時じゃねーかって? いいんだよそんなこと気にするなって!「......ん?」 突然聞こえてきた声に驚き辺りを見回すも、声の主は見当たらない。「気のせいか......?」 そう思いつつも再び前を向くと、先程まで確かに誰もいなかったはずの場所に1人の少女が立っていた。銀髪を三つ編みにした彼女は大きな瞳をパチクリとさせながら不思議そうにこちらを見つめている。「......」「............」「............」「............誰?」
devil may cry ~魔剣使いの学園生活~ - mission 2-1 少女の名はイリアスティア - イリアスティア - ンは学校から帰ってくるなり自室のベッドに寝転がり深いため息をついた。「はぁ~~............最悪だよもう」
今日一日の出来事を思い出して憂鬱な気持ちになるもののどうにか気持ちを切り替えようと目を閉じる。目を閉じれば脳裏に浮かぶのは今日の授業風景だった。教師の話などそっちのけで昨日のことばかり考えてしまう自分のことがたまらなく嫌になる。こんな気持ちになったのは生まれて初めてのことだった。
devil may cry ~魔剣使いの学園生活~ - mission 3-1 - (ミティスの森へようこそ!) - ク・ドゥー
1.
――翌日。いつものように朝6時に起床したリ
第0章 - 第1話『2つの転校生』第3節/最終話/エピローグ(終)_「明日への扉」 - 第4話〈新校舎と、聖歌〉 - ンッ
その日の朝は、雨で始まった。
朝のhr前、教室に現れたのは担任である真木野(まきの)紗耶香(さやか)だった。
彼女はクラス全員の顔を見渡して挨拶すると、「皆さんに大切なお話があります」
そう言って席に着いた。「皆さんご存知の通り来週末に試験があります」
生徒たちから驚きの声があがったが、それはいつものことで誰も驚いた様子はなかった。「実は中間テストの結果を元にした個別課題が出されました。内容は各人にお任せします」 そこまで言ったところで、突然教室内に笑い声が起こった。「あのさ先生、この“個人”ってのは誰のこと?」
クラスの男子の一人が手を挙げた。成績優秀スポーツ万能な彼は学年でも一番の成績者なのだという。しかし真木野先生は冷静に返答するだけだった。「......貴方です。岩瀬(イワセ)」
クラス一同の視線が彼に集中した。「......」 それでも彼は黙ったままだった。「岩瀬くん?
聞いているんですか?」「聞いてるっつーか、どうでもいいって思ってるだけなんだけどな......ったく」 ようやく返事を聞いた途端、それまで無言を貫いていた沙耶香が大声で言い放った。「そんなんでいいの!? もっとやる気出してよ!」 そう言われても彼は面倒くさそうに頬杖をついたままだった。「だって俺、勉強なんて好きじゃないし」 その時、突如としてドアが開く音がして教師が現れた。「はいはい。話はあとで聞くわねー!
もう授業始まるわよー!」 担任が来た以上、これ以上私語を続けるわけにもいかず教室内は一瞬にして静かになった。「では続きまして――」
そして午後の授業が始まった。「――ですから次の問題文の中で間違っている箇所を答えている人はいますか?」 数学の授業中、私は教科書に目を落としたまま考え込んでいた。(今日はちょっと早めに切り上げた方がいいかも......) そんなことを考えながら、ふと隣の席に座る彼の様子が気になった。
落雷で倒れていた彼を助けたあの日以来、一度も言葉を交わしていないのだ。私は助けてくれたお礼さえ言えていない。それなのに―― (また一緒に帰ることができるのかな?)
デビルズ・コンフリクトreverse - 第5話 『ふたりめの悪魔』(了) - ンは昼休みを迎えるや否や一目散に屋上へと駆け込んだ。 誰もいないことを確認した後、大きく深呼吸をした彼はフェンスの上にそっと腰掛けた。空を見上げると雲ひとつない快晴が広がっている。(さて......どうすっかな。昼メシは食べたけど食欲ねえしな~......まあいいや、後で適当に食えばいいだろ)
そう自分に言い聞かせると、彼はポケットからスマホを取り出した。 だが次の瞬間、その手は止まった。『俺は人間の命を救うためなら何だってやってやる』
先日出会ったばかりの少年の声が脳内に響く。 そして彼は思わず自嘲気味に笑った。「ハハッ......そういやそうだったよな。お前の言うとおりだ......」 今一度深呼吸をすると、少年はスマホを握り締めて立ち上がった。「よしっ! まずはアイツだな!」 そう言って屋上を後にした彼は、そのまま校舎の中へと消えていった。
devil may cry ~魔剣使いの学園生活~ - mission 1-1 その名はダンテ/魔剣士と少女たちの物語の始まり - んあ~、よく寝た! え? まだ4時じゃねーかって? いいんだよそんなこと気にするなって!「......ん?」 突然聞こえてきた声に驚き辺りを見回すも、声の主は見当たらない。「気のせいか......?」 そう思いつつも再び前を向くと、先程まで確かに誰もいなかったはずの場所に1人の少女が立っていた。銀髪を三つ編みにした彼女は大きな瞳をパチクリとさせながら不思議そうにこちらを見つめている。「......」「............」「............」「............誰?」
devil may cry ~魔剣使いの学園生活~ - mission 2-1 少女の名はイリアスティア - イリアスティア - ンは学校から帰ってくるなり自室のベッドに寝転がり深いため息をついた。「はぁ~~............最悪だよもう」
今日一日の出来事を思い出して憂鬱な気持ちになるもののどうにか気持ちを切り替えようと目を閉じる。目を閉じれば脳裏に浮かぶのは今日の授業風景だった。教師の話などそっちのけで昨日のことばかり考えてしまう自分のことがたまらなく嫌になる。こんな気持ちになったのは生まれて初めてのことだった。
devil may cry ~魔剣使いの学園生活~ - mission 3-1 - (ミティスの森へようこそ!) - ク・ドゥー
1.
――翌日。いつものように朝6時に起床したリ