「大我、俺は大丈夫だから、真由香を抱き上げてくれ」

「ああ」

俺は真由香を抱き上げた。

真由香は恐怖とショックで泣き出した。

俺は真由香をギュッと抱きしめて「大丈夫、大丈夫」と声をかけた。

最上は起き上がり「ばかやろう、命を粗末にするな」と真由香に対して怒鳴った。

「真由香は自分が癌かもしれないと気が動転したんだ」

「お前は本当に甘いな、俺はどんな理由があっても命を粗末にするやつは許せないんだ」

「ああ、分かってる、俺だってこれでも医者だからな、お前と同じ気持ちだよ」

最上の気持ちは痛いほどによくわかる。

「でも良かった、真由香、病室に戻ろう」

最上は真由香に対して、一言言った。

「いいか、よく聞け、お前は癌じゃない、死のうなんて思うな、分かったな」

「うん、最上先生、ごめんなさい」

俺と真由香は病室へ向かった。

しばらくして真由香は退院することが決まった。

「世話になった、最上ありがとう」

「最上先生、ありがとうございました」