俺は真由香の部屋のドア越しに声をかけた。

「大丈夫だよ」

シャワー浴びてリビングに戻ると、真由香はスマホを見ていた。

「飯食うか」

真由香はスマホの画面から視線を俺に移し笑顔を見せ返事をした。

「うん」

二人でたわいもない話をして、これが幸せって言うのかと改めて思った。

「大我、私ね、赤ちゃん欲しいんだけど……」

突然の真由香の言葉に驚いてしまった。

「えっ」

「大我、可愛い」

「おい、大人をからかうなよ」

「ごちそうさま」

真由香は立ち上がって食器をキッチンに運んだ。

俺は最上から真由香の様子を見るように言われていた。

名医と言われた俺が真由香のことになると、全く素人同然になって、ちょっとした変化にも気づかない、どうしようもないやぶ医者に成り下がってしまう。

真由香からのお願いは聞き入れていいものなのか、これから手術に挑む真由香の身体に、負担をかけることはどうなんだろうかと迷っていた。

俺は最上のスマホに連絡した。

「最上か」