「とても気立てのいいお嬢さんだったな、お前の妻としていいと思うぞ」

「そうだな」

「じゃあ、話を勧めていいな」

「ああ、任せるよ」

俺の中でどうでもよかった。

今、惹かれる思いがなくても、人間は一緒に暮らしていると、情が湧いてくる。

俺が仕事が出来る家庭環境を作ってくれたら、あとは何も望むものはない。

静かに、二人で年を重ねていけばいいだけのことだ、何も難しいことはない。

相手が誰でも同じことだ。

俺は最上総合病院から佐原総合病院に移ることもあり、最上に事情を説明した。

「最上、ちょっといいか」

「どうした」

「俺、結婚することになった」

「マジか、真由香喜んだだろう」

「違うよ、見合い相手とだ、佐原総合病院のお嬢さんだ」

「見合い?お前見合いしたのか」

「ああ、真由香さんは溝口さんと結婚するんだよ」

「全く、お前って奴は……」

「それで佐原総合病院の医院長が早めにきて欲しいって言われた、決まったらまた言うよ」