合唱祭当日、最悪な事態が発生した。伴奏者の春香が学校を欠席したのだ。
朝の会が始まる前、春香以外の生徒は席に座っていた。春香がなかなか学校に登校してこないので、クラス中が騒つき、教室のドアが開いた時には、全生徒が春香の登校を期待した。
しかし、教室に入ってきたのは石神で、そのまま春香の欠席が伝えられた。
「東堂が三十九度の熱を出したとのことで欠席の連絡が入りました。それじゃ、合唱祭頑張ってください」
事務的な連絡が朝の会で発表される。
朝の会が終わり、すぐに生徒達が再び騒つき始めた。
「やばくね?」
「春香、インフルだって」
「まじかよ」
すると、実行委員の二人が教卓の前に立ち、生徒達を宥める。
「みんな落ち着いて。とにかく林先生に連絡して弾いてもらえるか頼もうよ」
「わかった、僕言ってくるよ」
葉月の提案に、いち早く光輝が教室から出て、林先生の元へ向かった。
「ねー、葵か里帆できないの?」
直後に真美が呟いた。
「そうじゃん。パート別の練習で二人とも弾けてたし、いけるよ!」
明美がそういうと、嫌そうな顔で里帆が答えた。
「え、でも、ほとんどぶっつけ本番だし…」
いつものような明るさはなく、拒んでいるようだった。
「里帆なら大丈夫だよ」
普段、里帆と一緒にいる子がそういう。
「うーん…」
すると突然、葵が立ち上がった。
「私、やってもいいですか」
教室中が驚いている。普段おとなしい葵の、ピアノへの熱意が伝わってくる。
「葵さん、いきなりだけど大丈夫?」
葉月が声を掛ける。
「うん。ずっと練習してきたから」
「私も葵ならできると思う」
里帆が安心した表情でそう言う。
「正直、私にはこんな大役できない。すごく怖いの…、だから葵はすごいと思う。今度は私が応援してもいい?」
里帆が葵の手を掴んでぎゅっと握った。
そのタイミングで勢いよく教室のドアが開く。
「みんな、林先生大丈夫だって。とりあえずなんとか…」
全員が光輝に冷たい視線を送る。
「うわ、空気ぶち壊したぞ、光輝。」
「え?」
クラス中が笑いに包まれた。
結局、春香に代わって葵が伴奏を引き受けることになり、僕らは合唱祭に臨んだ。葵とは始まる前に何度か練習をした後、本番前最後のリハーサルを行った。僕が思っている以上に葵は上手に弾けていた。オーディションに落ちた後も、練習を積み重ねていることは容易に想像できた。
朝の会が始まる前、春香以外の生徒は席に座っていた。春香がなかなか学校に登校してこないので、クラス中が騒つき、教室のドアが開いた時には、全生徒が春香の登校を期待した。
しかし、教室に入ってきたのは石神で、そのまま春香の欠席が伝えられた。
「東堂が三十九度の熱を出したとのことで欠席の連絡が入りました。それじゃ、合唱祭頑張ってください」
事務的な連絡が朝の会で発表される。
朝の会が終わり、すぐに生徒達が再び騒つき始めた。
「やばくね?」
「春香、インフルだって」
「まじかよ」
すると、実行委員の二人が教卓の前に立ち、生徒達を宥める。
「みんな落ち着いて。とにかく林先生に連絡して弾いてもらえるか頼もうよ」
「わかった、僕言ってくるよ」
葉月の提案に、いち早く光輝が教室から出て、林先生の元へ向かった。
「ねー、葵か里帆できないの?」
直後に真美が呟いた。
「そうじゃん。パート別の練習で二人とも弾けてたし、いけるよ!」
明美がそういうと、嫌そうな顔で里帆が答えた。
「え、でも、ほとんどぶっつけ本番だし…」
いつものような明るさはなく、拒んでいるようだった。
「里帆なら大丈夫だよ」
普段、里帆と一緒にいる子がそういう。
「うーん…」
すると突然、葵が立ち上がった。
「私、やってもいいですか」
教室中が驚いている。普段おとなしい葵の、ピアノへの熱意が伝わってくる。
「葵さん、いきなりだけど大丈夫?」
葉月が声を掛ける。
「うん。ずっと練習してきたから」
「私も葵ならできると思う」
里帆が安心した表情でそう言う。
「正直、私にはこんな大役できない。すごく怖いの…、だから葵はすごいと思う。今度は私が応援してもいい?」
里帆が葵の手を掴んでぎゅっと握った。
そのタイミングで勢いよく教室のドアが開く。
「みんな、林先生大丈夫だって。とりあえずなんとか…」
全員が光輝に冷たい視線を送る。
「うわ、空気ぶち壊したぞ、光輝。」
「え?」
クラス中が笑いに包まれた。
結局、春香に代わって葵が伴奏を引き受けることになり、僕らは合唱祭に臨んだ。葵とは始まる前に何度か練習をした後、本番前最後のリハーサルを行った。僕が思っている以上に葵は上手に弾けていた。オーディションに落ちた後も、練習を積み重ねていることは容易に想像できた。