合唱祭まで一週間と一日に迫っていた。優香の誕生日が丁度一週間後にあり、合唱祭はその翌日だ。

 航達は、僕らの予想を覆し、サッカ―をした次の日から練習に参加するようになった。ただ参加したところまでは良かったものの、練習中にふざけたり戯れあったりしていて、クラスからは邪魔者扱いされてしまっている。

「航、邪魔するなら、帰ってよ!」
「うるせーな、お前らが来いっていたんだろ」
「練習しに来いって言ったの」

 真美と航が口喧嘩をしている。

「ていうか、晃、学級委員なのになんでサボってるのよ」
「いや、もう僕達、上手だから練習しなくても大丈夫かなって…」
「いくらやっても足りないわよ。そんなんじゃ優勝一組に持ってかれちゃうよ」
 
 学級委員同士で言い合っている。すると航が横から口を出した。

「晃には俺が来てもらうように言ったんだよ。こいつキーパー上手いからさ」。
「あー、サボってサッカーしてるじゃない。習い事だーとか言ってたクセに」
「やばっ」

 新学期に比べてクラスは見違えるほど明るくなっている。
 相変わらず石神は合唱際には全く口を出さず、全て林先生が担当してくれていた。

 練習では、僕らは本当に完璧だった。少し問題を抱えてはいるが、クラスの雰囲気もいいし、それぞれがそれなりに頑張っている。
 葵と里帆が喧嘩し、航達も練習をサボっていた。だけど、その全てが間違っていると僕は思えない。この合唱祭はそれを証明するチャンスだった。

 練習をギリギリまで行っていると、あっという間に下校の時刻になっていた。優香の誕生日も一週間後に迫っていたので、僕は美来に誕生日プレゼントの絵のことを確認しに行った。

「美来、絵はどう?」
「うん。もうできてるよ」
 美来は帰りの支度をしていたので、一緒に帰ろうと誘った。
「今日も買い物行くの?一緒に帰ろうよ」
「ごめんなさい。今日は急いで帰らないといけなくて。また明日ね」
 そう言って断られてしまった。

 なんだか今日の美来は、いつもよりも険しい顔をしていた。