そんな俺は、心がハイになり、雫とのドライブを楽しみにしていた。

次の日もバーで雫と会った。

雫は改まって、確かめたい事があると、俺に詰め寄った。

「藤ヶ谷さん、私を送ってくれたのは、昨日が初めてじゃないですよね」

俺はドキッとした。

「ごめん、一年前から雫のこと知ってた、酔い潰れた雫を放って置けなくて、アパート調べて、ずっと送っていた」

雫は驚きを隠せない様子だった。

「雫と結婚したい気持ちは嘘じゃない」

「でも婚約者がいるんですよね」

「親が決めたことだ、俺は雫と結婚したい」
俺は一気に自分の気持ちを雫にぶつけた。
そして、俺のマンションに誘った。


雫は俺のマンションに来てくれた。
もう、俺は自分の気持ちにブレーキをかける事が出来なかった。


「藤ヶ谷さん、私・・・」

「雫、俺は雫を愛している」

俺は雫を抱きしめた、潤んだ唇、俺を見つめる瞳、ピンク色に染まる頬、どれをとっても愛おしい。
キスをすると雫は応えてくれた。
絡まる舌が熱を帯びて、息が荒くなる。
雫の唇から首筋へと、俺の熱い思いは下へ下へと移っていく。
雫は感じてくれたのか可愛らしい吐息を漏らした。

俺は雫に俺の全てを注ぎ込んだ。

気持ちを止める事が出来なかった。

俺は雫とのこれからの人生を疑うことはなかった。
しかし、雫は俺との別れを決めていた。

雫は朝目覚めた時、俺の元を去った。
俺とのことは過ちと思いながら・・・

「さようなら、琉」




朝、目覚めると隣に眠っているはずの雫がいなかった。

「雫?」

俺は雫が俺の元を去ったと確信した。

「雫、どうして俺の元を去った、あの俺を見つめる表情、俺を受け入れてくれたことが、全て嘘だと言うのか」

俺は必死に雫の消息を追った。

バーにも行ってみた、アパートにも行ってみた。

しかし、バーには現れず、アパートも引き払っていた。

俺は探偵を雇い入れ、雫を探した。

しかし、雫の消息はわからないまま、悪戯に時は流れた。