なんか、この人といると、すごく安心する、でも、私はキョロキョロと辺りを見回していた。

「誰か探しているんですか」

「あっ、あの、実は昨日まで、いつも酔い潰れた私をアパートまで送り届けてくれた男性がいて、私、失恋して、無茶な飲み方したんで」

「そ、そうですか、今日は僕が送りましょうか」

「ありがとうございます」

彼はアパートまで送ってくれた。

「それじゃまた」

「あのう、コーヒー入れますから、上がってください」

「そうですか、ではお言葉に甘えて」

私は彼を招き入れた。
その時足元の箱に躓いて、転びそうになった私を彼は支えてくれた。

「大丈夫ですか?」

彼からほのかに香る香水に、私は覚えがあった。
私を送り届けてくれた彼からも、同じ香りがしていた。

そして、彼と見つめあった。

自然と惹かれあい、彼は私を抱きしめてくれた。