私は朝目覚めると、昨夜の事が脳裏を掠めた。

「誰」

拓海じゃない、そんなのわかっていた。

でも寂しくて、悲しくて、一人じゃいられなかった。

あれから一年経っても、私は拓海を忘れる事が出来なかった。

そんな時、部屋に送り届けてくれた人の背中が私の目に飛び込んできた。

拓海じゃない、でも今、抱きしめて欲しかった。

拓海と思いたかった。

目の前の彼は、私が縋ると受け止めてくれた。

キスをすると、彼から熱い気持ちを感じた。

なんて優しいの、あなたは誰なの?

この時の私の心は壊れかけていた。

優しい彼に抱きしめて貰うと、気持ちが安らぐ。

今日も会えるかな?

私はいつものようにバーに向かった。

バーで飲んでいると、ある男性が声をかけて来た。

藤ヶ谷不動産社長藤ヶ谷琉だった。

私は楽しい時間を過ごした。