久しぶりに俺は飲み仲間と食事に行った。

「おい、女子会じゃあるまいし、真昼間から食事に誘われるとは、どうした?」

「俺、昨夜理性を失った」

「はあ? 何したんだ」

「女を抱いた」

「普通だろ?」

「いや、俺を別れた男と思って、男の名前を呼んでる女を抱いた」

「お前はそこまでして、その女が好きなのか」

「ああ、身代わりでも構わない、毎日泣いてる姿は見るに耐え難い」

「しかし、それは女にとって、残酷な事じゃないのか、忘れさせてやるのが、愛情だろう」

「俺は初めてバーで男といる彼女を見た、笑顔が印象的だった、しかし次に彼女は一人で現れ、泣いていた、だから、秘書に調べさせて、酔い潰れた彼女をアパートまで送った、ずっとそんな事を一年近く続けている、彼女を抱いたのは昨夜が初めてだ」

「マジかよ、名前名乗って正体明かせよ」

「振られたら、もう彼女に会えないじゃないか」

「おい、お前いくつだよ、しっかりしろ」

俺は説教されて、仕事に戻った。

今夜、雫をアパートに送り届けたとき、一人にしないでと言われたら、俺は男の身代わりをするだろう。
雫が愛おしすぎる、ダメと分かっていても、求められれば応えてしまいそうだ。