ある日、バーでお酒を飲んでいると、隣に男性が座った。

「隣の席空いてますか」

私はこの時、当時付き合っていた彼に振られて、やけになっていた。
今思うと全く覚えていない。

「どうぞ、一人なんで」

その時声をかけてきたのが琉だった。

「一人なら、一緒に飲みましょうか」

「いいですよ」

私は相当飲んでいたので、酔っていた。

「僕は藤ヶ谷不動産の藤ヶ谷琉と言います、もしよかったらお名前お聞かせ願えますか」

「名前? 雫です、雨宮 雫、今日から一人なの、もうずっと一人だな」

「じゃ、僕と付き合ってください」

「どこへ?」

「どこへじゃなくて、僕の人生に、結婚を前提にお付き合いしてください」
私は目を丸くした。

私はびっくりしすぎて、「失礼します」とその場を後にした。