私は峻助を出産後、多忙な日々を送っていた。

四十代の子育ては思った以上に過酷だった。母乳が出ずミルクで育てることになった。

「雫、大丈夫か」

「はい、大丈夫です」

私は本当は大丈夫じゃないのに、弱音を吐くことはしたくなかった。峻はそんな私を見兼ねて、ベビーシッターをお願いしてくれた。

「峻、ごめんなさい、私母親としての義務を怠っていますね」

「そんなことはない、誰でも子育てで経験するんだ、無理して雫が倒れたらその方が困るからな」

「はい」
 
ベビーシッターの方の力を借りて子育ても軌道に乗って来た。峻助が生後六ヶ月を過ぎた頃、峻は三人で旅行に出かけようと提案してくれた。

「なあ雫、三人で旅行に出かけよう」

「本当ですか、嬉しいです」

「雫の頑張りを労う旅行だ、そして雫を抱きたい」

峻の言葉にドキドキが加速し始めた。そう、私と峻はまだ結ばれていない。

峻助も朝までぐっすり寝てくれるようになった。離乳食も沢山食べてくれる、悩んでいたあの頃が嘘のように楽になった。

車でドライブをして、久しぶりにのんびり出来た。

「峻、ありがとうございます、私、幸せです」

「それはよかった、雫、今夜は寝かせないから覚悟しておけ」

峻の言葉にまたまたドキドキが止まらない、まるで恋する少女のようにウキウキしていた。

峻助を寝かせたあと、シャワーを浴びてベッドに横になった。

峻のキスは首筋から胸に移っていく、そして峻の手は私の太腿から感じる部分へと滑り込み吐息が漏れた。
 
その時、峻助が動いた、二人で息を飲み、峻介の動きを見つめた。

また眠りについた、私達はほっと安堵して、再び愛を確かめ合った。

俺は雫を抱いた、こんなにもドキドキするとは思いもしなかった。