俺は会社の全社員に雫を認めて貰うため説明をした。

子供のことも真実を伝え、藤ヶ谷社長から託された旨を報告した。

「お忙しいところお集まり頂きありがとうございます、兼ねてから婚約しておりました雨宮雫さんと入籍したことをご報告させて頂きます、記者会見をご覧になった方は詳しい事情は把握していると思いますが、改めてこの場を借りてご報告させて頂きます、妻雫との子供は私と血の繋がりがありません、しかし自分の子供として育て、将来はこの会社を託したいと考えております、私はこの世に自分の子供を残せない病気を抱えています、そのことをご理解頂き、ご協力頂きたく存じます」


また雫に離婚届を書かせた鈴木は責任を取って退職処分とした。



その頃琉も、冴木の会社の連中の事は気になっており、離婚届けを書かせた鈴木など、冴木の失脚を狙って、雫に危害が及ぶのではないかと心配していた。

秘書に調べさせたところ、その役員は責任を取り辞めさせられたとの事を聞き安心していた。

そして冴木コーポレーションでも役員及び全社員に、雫と子供を認めてもらうため、冴木自身が気遣いを見せたと、ある冴木コーポレーションの社員から内密に情報を得た。

雫が今俺のそばにいない状況は運命なのかもしれない。

やるべき事はやった結果で、雫を手に入れることが出来なかったから、諦めるしかないのかもしれない。

しかし、俺はこれからも、雫と子供を見守って行くと決心したのである。