どうしよう、私の軽率な行動で迷惑をかけてる。
もうここには居られない。
目の前の離婚届をじっと見つめて、私はサインをした。

『峻、ごめんなさい、やっぱり私とチビちゃんの事で関係の無い峻に迷惑はかけられないです、唯香さんなら問題ないと思います、幸せになってください』

メモとスマホを置いてマンションを出た。

「雫様どちらへお出かけですか?」

コンシェルジュの千賀さんが声をかけてくれた。

「ちょっと買い物へ」

「余計な事かもしれませんが、今は外出は避けた方がよいと思いますが・・・」

「ご心配ありがとうございます、すぐ戻ります」

私は心の中で千賀さんにお礼を言った。
もう今度こそ戻ってくる事は無いと、涙が溢れてくるのを抑えるのに必死だった。
そこへ待ち構えていた様に琉が姿を現した。

「雫、迎えに来たよ」

「琉?どうして?」

「いいから、車に乗って?また週刊誌の記者に写真撮られるから」

あっそうだ、でも車に乗ったらまた密会って書かれる、と思っていると「雫、早く」と車に乗せられてしまった。

私は琉のマンションへ逆戻りしてしまった。

「雫、僕達はこう言う運命なんだよ」

私は下を向いて何も答えることが出来なかった。