俺は冷静な判断が出来なかった。
藤ケ谷琉に嫉妬していた。
雫が俺を裏切るわけがないのに、週刊誌の記事に踊らせられてしまった。
雫の涙を見て我に返った。

俺の目の前で雫は泣いていた。
泣いている雫に近づき「ごめん、言い過ぎた」
と、手を引き寄せ、抱きしめた。

「信じて・・くれます・・か?」

雫は泣きながら俺を見つめた。

「雫があいつに取られるんじゃないかと焦った」

「峻に信じて貰えなかった瞬間悲しくなって、私も峻を信じられなかった時、酷い事を言ったと反省しています」

「俺達、まんまとあいつの策略に嵌ったんだな、冷静に判断しないと、一緒にいられなくなるな」

峻の表情はいつもの優しい表情に戻った。

「峻に信じて貰えても、会社の役員会の方々は信じてくれないですよね」

「心配するな、なんとかする、雫はチビ助の事だけを考えればいい」

雫は俺の言う事を黙って聞いて頷いた。

「それからあいつや記者の接触があるからしばらく外には出るな、いいな」

「はい、峻は大丈夫ですか?」

「俺は大丈夫だ」

雫はニッコリ微笑んだ。
この笑顔を俺は守ると決めた、雫とチビ助がいれば俺は必ずこの状況を乗り越えて見せると心に誓った。