二人で産婦人科の検診へ出かけた。
今日は赤ちゃんが産まれてくる為の親としての心構えの講習があるとの事。
峻は一生懸命講習を聞いていた。

「子供が産まれるって大変なんだな」

「そうですね」

帰りの車の中で命の誕生に改めて責任を感じた。
それから毎日大きくなったお腹に向かって、二人で声をかけていた。
そろそろ胎動を感じる時期で、チビちゃんが動く度に二人で一喜一憂していた。

そんなある日、買い物に出かけようとマンションを出ると、黒の高級車が横付けされた。

「雫、元気か」

琉だった。
私の大きなお腹を見て、「順調みたいだな」と微笑んだ。

「雫、僕のところへ戻ってこい」

「ごめんなさい」

「そうか、わかった、でも僕は諦めないから」

琉はすんなりと引き下がり、マンションを後にした。
この時の瞬間を写真に撮られていたとは全く気づかなかった。

峻が仕事から戻ってきた。

「雫、ただいま、変わりないか?」

「お帰りなさい、大丈夫です」

「美味そうな匂いだな」

峻は私の作った料理をパクッとつまみ食いをした

「あっ、つまみ食いはいけません、チビちゃんが真似しますよ」

「そうだな、でも雫の料理は最高だ」

その時峻のスマホが鳴った。